「出願人横断 英語 (統制)」は、国が異なる特許でも出願人を英語名で横並びに比較・集計できる項目です。
2026年9月の仕様変更で、中国・韓国・台湾など各国の出願人名に英語名が付き、同じ会社の別表記(表記ゆれ・略称・旧社名・綴りの誤り)が1つの代表名にまとまるようになりました。あわせて、検索結果一覧や個別特許ページに原語の出願人名と英語名が併記されるなど、Webアプリの各画面の表示も変わっています。
この記事でわかること
Patentfieldでは、日本・米国・欧州・中国・韓国・台湾・WIPOなど各国の公報を横断して検索できますが、出願人名は国ごとに原語(日本語・中国語・韓国語・英語など)で収録されています。「出願人横断 英語 (統制)」は、これらの出願人名を英語名に統一し、さらに同じ会社の別表記を1つの代表名にまとめた項目です。国をまたいだ出願人ランキングや競合分析を、英語名で行えるようになります。
従来の「出願人横断 英語」は、世界書誌データ(DOCDB)に英語名が収録されている出願だけに値が入るため、中国・韓国・台湾の出願の多くは空欄でした。また、同じ会社でも「SONY CORP」「SONY CORPORATION」「SONY GROUP CORP」のような表記の違いが別々に集計されていました。これまでとの違いを図にすると次のとおりです。
今回の変更で改善された点を整理すると、次の4点になります。
| 改善点 | 内容 | 例 |
| ① 英語名の空欄を辞書で補完 | 各国の出願人名(日本語・中国語・韓国語)を、蓄積した対応表(辞書)で英語名に置き換えます。DOCDBに英語名が無い出願にも英語名が付きます。 | 華為技術有限公司 → HUAWEI TECHNOLOGIES CO LTD 삼성전자 주식회사 → SAMSUNG ELECTRONICS CO LTD |
| ② 画面の出願人と同じ会社を採用 | 各文献の「出願人」欄と同じ会社を同じ順序で英語化します。権利移転後の権利者にすり替わることがなくなりました。 | 出願人欄が「A社」なら英語名も「A社」の英語名 |
| ③ 同じ会社の別表記を名寄せ | 表記ゆれ・法人格の違い・綴りの誤り・社名変更・略称・吸収合併・特許管理子会社を、規則とAIによる判定で1つにまとめます。 | SONY CORP / SONY CORPORATION / SONY GROUP CORP → 1つの束 |
| ④ 代表名で表示 | まとめた束ごとに1つの英語名(代表名)を決め、画面・集計・Excelはその名前で出します。末尾のピリオドなどの記号は省きます。 | SONY GROUP CORP PANASONIC HOLDINGS CORP CANON INC. → CANON INC |
※ 「統制」とは、表記ゆれ・略記・法人格の違い・旧社名を1つの英語表記にそろえていることを表しています。グループ会社の統合や権利移転の追跡まで積極的に行うものではありません(詳しくは「3. 同じ会社をまとめる基準」をご覧ください)。
※ 無料プラン・有料プランを問わず、すべてのユーザーに表示されます。設定は不要で、検索結果・個別特許ページ・集計・Excel・PDF・査読・アラートメール・APIに共通して反映されます。
※ 英語名のデータは検索データの更新にあわせて日次で作り直されます。データの反映は順次行っているため、時期によっては一部の文献で英語名が空欄(未統一)のことがあります。
次の3つの方針で表示を変更しています。
(1) 原語の出願人名は必ず残し、英語名は括弧書きで添える。
(2) 集計・Excelなど国をまたぐ分析では英語名(統制)を使いやすくする。
(3) 中国語・韓国語の出願人名だけが並ぶ状況(PDF抄録など)を無くす。
2-1. 検索結果一覧
検索結果一覧の出願人欄の見出しが「出願人(統制)」になり、原語の出願人名の次の行に「(英語名)」が灰色で表示されます。英語名もリンクになっており、クリックするとその英語名で検索・分析する出願人ページに移動します。詳細・原文リスト形式・代表図・図面スライダー・リスト・AIサマリーの6つの表示形式すべてで同じように表示されます。
見出しの横の「?」アイコンにカーソルを乗せると、次の説明が表示されます。「出願人名をそろえた表記です。日本の文献は名寄せした出願人名、それ以外の文献は原語の出願人名を出し、表記ゆれ・略記・法人格・旧社名を1つの英語表記にまとめた『出願人横断 英語 (統制)』を括弧書きで添えています。機械的に統一しているため誤りが含まれることがあります。正確な出願人は各文献の書誌事項でご確認ください。」
※ 共同出願の場合、括弧の中に「, 」区切りで各出願人の英語名が並びます。
※ 英語名の値がある文献では、原語と同じ綴りであっても括弧書きを省略しません(省略すると「英語名のデータが無い文献」と区別できなくなるためです)。括弧書きが無い文献は、英語名のデータが無い文献です。
※ 原語の出願人名が収録されていない文献(米国意匠など)は、英語名を本体として表示します。
2-2. 個別特許ページ(上部の書誌)
個別特許ページ上部の項目名が「出願人(統制)」になり、「?」のツールチップが付きました。原語の出願人名(日本の文献は名寄せした出願人名と住所)の下に「(英語名)」が表示されます。
※ 以前は、日本の文献だけ「出願人(JP:名寄せ)」の見出しで名寄せした出願人名が表示され、それ以外の文献では出願人の行がありませんでした。今回から日本以外の文献にも原語と英語名が表示されます。
※ ページ下部の「書誌事項」タブには英語名を表示しません。各国の出願人カラム(原語)がこれまでどおり並ぶため、正確な出願人の確認先としてお使いください。「関連文献」タブ(引用・被引用などの一覧)は検索結果一覧と同じ表示になります。
2-3. 項目名の変更
検索条件・集計軸・出力項目・Excel・APIドキュメントに表示される項目名を「出願人横断 英語」から「出願人横断 英語 (統制)」(英語UIでは Cross Applicants en (Harmonized))に変更しました。コマンド検索のコードは従来どおり「CREAPP」で、検索は完全一致です。
2-4. 集計・ダッシュボード
検索結果画面の「分析」パネルで集計項目を選ぶとき、「共通」→「出願人関連」の中に「出願人横断 英語 (統制)」があります。国をまたぐ集計では、この軸を選ぶと出願人ランキングが英語名で表示され、同じ会社の別表記が1行にまとまります。
ダッシュボードのシステム提供プリセット(出願人ランキングなど)は、検索対象の国が日本だけなら従来どおり原語(日本語の出願人名)で集計し、それ以外(中国・韓国を含む場合、全世界など)では自動的に「出願人横断 英語 (統制)」を軸にします。中国語・韓国語の原語名だけが並ぶランキングにならないための切り替えで、ユーザーが保存した自分のプリセットは変更しません。
2-5. Excelダウンロード
Excelダウンロードの出力項目のデフォルトに「出願人横断 英語 (統制)」が入り、「権利者/出願人横断 原語」の右隣に並びます。出願人を含むプリセット(デフォルト・基本書誌・AIサマリー・クレーム・法的状態)のすべてで、原語の右に英語列が入ります(「番号・日付」は出願人列を持たないため対象外です)。
2-6. 検索結果のPDF抄録
検索結果からまとめて作成するPDF抄録(要約・AIサマリー)の出願人行は、日本語の名称はそのまま、それ以外は英語(統制)のみを出力します。日本語かどうかは「日本の文献」「仮名を含む」「株式会社などの日本の法人格を含む(中国・台湾・韓国の文献を除く)」で判定します。英語名が無い文献は原語のまま出力され、中国語・韓国語のフォントにも対応したため文字化け(□)になりません。
2-7. 査読・分析(Patentfield AIR)
査読(Review)と分析(Analysis)の取得・表示項目で「出願人横断 英語 (統制)」を選べるようになり、デフォルトにも含まれます。
2-8. アラートメール・API
新着アラートのメール本文でも、原語の出願人名の下に灰色で「(英語名)」を添えます。外部APIの検索カラム一覧には「出願人横断 英語 (統制)」(CREAPP: cross_en_applicants)を記載しました。出力・集計・クロス集計・引用・共起で使えます(並び替えには使えません)。
変更点のまとめ
| 画面・機能 | 変更前 | 変更後 |
| 検索結果一覧 | 原語のみ。見出しは「出願人」 | 見出し「出願人(統制)」+「?」ツールチップ。原語の下に「(英語名)」 |
| 個別特許ページ上部 | 日本の文献は名寄せ名+住所。日本以外は出願人の行が無い | 「出願人(統制)」+「?」ツールチップ。原語の下に「(英語名)」。書誌事項タブは従来どおり |
| 個別特許ページの関連文献タブ | 原語のみ | 検索結果一覧と同じ表示 |
| 項目名 | 出願人横断 英語 | 出願人横断 英語 (統制) |
| 集計軸 | 「出願人横断 英語」を選択 | 「出願人横断 英語 (統制)」を選択(「共通」→「出願人関連」) |
| ダッシュボード(システムプリセット) | 常に原語で集計 | 日本のみ → 原語、それ以外 → 英語 (統制) |
| Excelダウンロード | 英語列は手動で追加 | デフォルトと出願人を含む全プリセットに英語列(原語の右) |
| 検索結果のPDF抄録 | 原語のみ(中国語・韓国語は文字化け) | 日本語はそのまま、それ以外は英語 (統制)。原語しか無い場合もフォント対応で表示 |
| AIカスタム抄録 | 原語のみ | 画面は「原語 (英語)」、PDFは日本語以外を英語のみ |
| 査読・分析 | 英語列を選べない | 選べる(デフォルトに含む) |
| アラートメール | 原語のみ | 原語の下に「(英語名)」 |
名寄せは、確信のある同一法人だけをまとめています。判断は次の4つの層で行います。
| 層 | 内容 |
| 表記ゆれ | 大文字・小文字、ピリオドやカンマ、略語(CORP と CORPORATION、KK と KABUSHIKI KAISHA、MFG と MANUFACTURING)。機械的に同じ形になれば同じ会社とみなします。 |
| 法人格が違う | RICOH KK と RICOH CO LTD のように会社の種類の表記だけ違う組は、元の日本語名(株式会社リコー)が両方に対応している証拠があるときだけまとめます。 |
| 名前が違う | 社名変更(松下電器産業 → パナソニック)、略称(IBM)、吸収合併で消滅した会社(川崎製鉄 → JFEスチール)、特許管理子会社(MICROSOFT TECHNOLOGY LICENSING → MICROSOFT)。 |
| 綴りの誤り | 有名な会社名と1文字だけ違う表記(MASCHINES と MACHINES、ELECTRONCIS と ELECTRONICS)。 |
まとめる例・まとめない例
| 種類 | まとめる | まとめない |
| 表記ゆれ・略称 | SONY CORP = SONY CORPORATION = Sony Corp. IBM = INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION NEC CORP = NIPPON ELECTRIC CO | GENERAL ELECTRIC CO(米GE)と GENERAL ELECTRIC CO LTD(英GEC) TOKYO ELECTRIC CO LTD(東京電気=東芝テック)と TOKYO SHIBAURA ELECTRIC(東芝) |
| 社名変更 | MATSUSHITA ELECTRIC INDUSTRIAL → PANASONIC HOLDINGS FUJI PHOTO FILM → FUJIFILM、NIPPON DENSO → DENSO HYUNDAI ELECTRONICS → SK HYNIX | 社名を元に戻した会社は最新の名前を採用(CITIZEN HOLDINGS ではなく CITIZEN WATCH) |
| 吸収合併 | 旧会社が消滅し権利を引き継いだ場合のみ: KAWASAKI STEEL → JFE STEEL、SANKYO → DAIICHI SANKYO、AIWA → SONY GROUP | 買収後も自社名で出願を続ける会社(XILINX と AMD、GILLETTE と P&G、SANYO ELECTRIC と PANASONIC)、分割された会社 |
| 特許を管理する子会社 | MICROSOFT TECHNOLOGY LICENSING → MICROSOFT CORP PANASONIC IP MANAGEMENT → PANASONIC HOLDINGS GM GLOBAL TECHNOLOGY OPERATIONS → GENERAL MOTORS | 製品を作って事業をしている子会社・研究開発会社(HONDA R&D と HONDA MOTOR、TOSHIBA TEC と TOSHIBA) |
| 綴りの誤り | INT BUSINESS MASCHINES → IBM の束 SAMSUNG ELECTRONCIS → SAMSUNG ELECTRONICS | 1文字違いでも両方が実在の名前として広く使われる語(HUAYU と HUAYI、SANYO と SANYU) |
| 大学・官庁・同名 | UNIV TOKYO = NATIONAL UNIV CORPORATION THE UNIV OF TOKYO | UNIV JIAOTONG(上海・西安・北京のどれか決まらない)、CSR LTD(英国と豪州の別会社) |
画面に表示される名前(代表名)の決まり方
| 束の種類 | 代表名 | 例 |
| 表記ゆれ・綴りの誤り(規則) | いちばん多く使われている表記 | TOYOTA MOTOR CORP、HON HAI PREC IND CO LTD |
| 社名変更・吸収合併(AI) | 現在の正式名 | PANASONIC HOLDINGS CORP、SONY GROUP CORP、JFE STEEL CORP |
| 特許管理子会社(AI) | 本体の事業会社 | MICROSOFT CORP、GENERAL MOTORS |
| 略称(AI) | よく知られた・多く使われる表記 | IBM(INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION ではなく) |
Q. 検索結果の括弧書き(英語名)が出ない文献があります
A. その文献に英語名のデータが無い(辞書に載っていない個人名など)か、データの反映がまだ行われていないかのどちらかです。前者は原語だけの表示が仕様です。
Q. 原語と英語名が同じ綴りなのに両方表示されています
A. 仕様です。英語名の値があれば必ず括弧書きにします。省略すると「英語名のデータが無い文献」と見分けられなくなるためです。
Q. 「SONY CORP」で「出願人横断 英語 (統制)」を完全一致検索したら0件になりました
A. 代表名に置き換わったためです。「SONY GROUP CORP」で検索してください。元の表記そのままで探したいときは、各国の出願人(原語)や「出願人 (DOCDB)」の項目をお使いください。
Q. 個別特許ページの「書誌事項」タブに英語名がありません
A. 意図的に表示していません。書誌事項タブは原語の確認先としてお使いいただき、英語名はページ上部の「出願人(統制)」でご覧ください。
Q. 検索結果のPDF抄録で中国・韓国の出願人が英語になっています。原語で出力したい
A. PDF抄録では日本語以外の名称を英語(統制)に統一する仕様です。原語が必要なときは、画面またはExcel(各国の出願人カラム)をお使いください。
Q. 明らかに別の会社が1つになっている / 子会社が親会社にまとまっている
A. 該当する2つの名前をサポートまでお知らせください。翌日以降のデータ更新で分かれるよう対応します(同じ組を再びまとめることはありません)。なお、特許を管理するだけの子会社(〜 TECHNOLOGY LICENSING、〜 IP MANAGEMENT)は意図的に本体へまとめています。
Q. 表示名を変えてほしい(CANON KK ではなく CANON INC にしたい)
A. 現在は「多く使われる表記」で機械的に決めています。
Q. 従来の「出願人横断 英語」で保存した検索条件や集計設定はそのまま使えますか
A. 使えます。項目名が「出願人横断 英語 (統制)」に変わっただけで、コマンド検索のコード(CREAPP)や項目そのものは同じです。ただし値が代表名に統一されたため、完全一致で指定していた出願人名は代表名に合わせて見直してください。