EP(欧州)の文献を開いたときに「テキストデータが未収録のため代替文献を表示しています : WO●●●●」という注記が出たり、検索結果の一覧でタイトルの下に「代替文献 WO●●●●」と表示されたりすることがあります。これは、EPの公報にテキストデータ(請求の範囲・明細書・要約)が収録されていない場合に、その文献の元になったWO(PCT国際公開)公報の本文を代わりに表示する仕組みです。
PCT出願からEPへ移行した文献は、EPの公報側に本文テキストが収録されないことがあります。書誌情報(出願人・出願日・分類など)はあるのに、請求の範囲・明細書・要約がすべて空という状態です。このような文献について、Patentfieldでは次の2つの条件を両方満たすときに、元になったWO公報の本文を代わりに表示します。
※「請求の範囲はあるが明細書は無い」のように一部だけ収録されている文献は代替しません。1つの文献の中でEPの本文とWOの本文が混ざり、どちらを読んでいるのか分からなくなることを避けるためです。
※仕組み自体は国を問いませんが、実務上はEP文献でのみ発生するものとお考えください。JPにもWO経由の文献はありますが、本文はJPの公報側に収録されるため代替対象にはなりません。
※代替表示のための専用契約や設定はありません。条件を満たす文献を開くと自動的に代替表示になり、常に出所(WO公報番号)が明示されます。ON/OFFの切り替え設定はありません。
対象の文献を開くと、本文を表示する各タブの先頭に「テキストデータが未収録のため代替文献を表示しています : WO●●●●」という注記が表示されます。「書誌事項」タブでは、左側の要約がWO公報から取得したものになります。一方、右側の書誌事項パネル(PCT公開番号・最先公知日・出願人・IPC/CPCなど)はEP自身の値のままです。本文だけを借り、書誌情報は混ぜません。
EP自身に本文が無い文献では、通常「請求の範囲 (出願)」タブと「明細書」タブは表示されません。代替表示が働くと、WO公報の本文でこの2つのタブが表示されるようになり、内容を読めるようになります。タブを開くと先頭に注記が表示され、そのすぐ下からWO公報の請求項・明細書本文(図面・表を含む)が並びます。
AIサマリーや機械翻訳は公報の本文から生成されるため、これらも代替の対象です。「AIサマリー」タブでは、WO公報に対して生成されたAIサマリー(名称・一文要約・用途・課題・効果・特徴・各分類)が注記付きで表示されます。「翻訳文 請求の範囲(全文)」タブと「翻訳文 明細書(全文)」タブも同様に、WO公報の本文に対する機械翻訳が原文・訳文の並列で表示されます。
※AIサマリータブの代替表示にはAIサマリーが利用できるご契約、全文翻訳タブの代替表示には機械翻訳が利用できるご契約が必要です(通常の文献でこれらのタブをご利用いただける場合は、追加の条件はありません)。
代替するのは「公報の本文と、本文から生成されたもの」だけです。国ごとに値が異なる情報は、WO公報の値を混ぜると別文献の情報をEPの情報として見せてしまうため、引き継ぎません。
| 項目 | 代替 | 補足 |
| 請求の範囲・明細書・要約・図面 | する | 公報の本文そのもの |
| AIサマリー | する | 本文から生成されるため |
| 機械翻訳(全文翻訳) | する | 本文から生成されるため |
| 名称(タイトル) | しない(EP自身の名称を表示) | EPの公報には名称が収録されていることが多いため |
| 書誌事項(出願番号・公開番号・公開日・出願人・発明者・代理人) | しない | EPとWOで値が異なるため(例: 公開日はEPとWOで別の日付) |
| 法的状態(リーガルステータス) | しない | 国ごとの権利状態のため |
| 引用・被引用 | しない | 国ごとの審査結果のため |
| 特許分類(IPC/CPC/FIなど) | しない | 国ごとに付与されるため |
名称はEP自身のものを使うため、名称・要約の機械翻訳を表示する「翻訳文」タブは代替の対象外です。このタブには代替の注記は表示されず、EP自身の名称の機械翻訳だけが表示されます(要約の機械翻訳は、EPに元データが無いため表示されません)。
検索結果の一覧でも、要約・AIサマリー・トップクレームなどが同じルールで代替されます。代替した文献は、タイトルの直下に「代替文献 WO●●●●」が表示され、EP自身の内容と区別できます。タイトルはEP自身の名称、その下の要約はWO公報から取得したもの、書誌欄(出願番号・公開番号・公開日など)はEPの値のままです。
表示切替を「AIサマリー」にした場合も同様に、WO公報のAIサマリーが表示され、出所として「代替文献 WO●●●●」が付きます。
※「代替文献」の表示が無い文献は、EP自身に本文が収録されている(=代替していない)文献です。表示の有無だけで、その文献の本文がどちらのものか判断できます。
検索結果のエクセルダウンロード(Excel・CSVとも)でも、要約などの本文列は代替後の内容で出力されます。代替した文献がある場合は、出力列の末尾に「代替文献」列(英語UIでは「Alternative document」)が追加され、代替元のWO公報番号が入ります。EP自身に本文が収録されている文献は、この列が空欄になります。
Patentfield AIRのAI査読・AI分析でも同じ条件で代替が働き、生成AIには代替後の本文が渡されます。本文が空のまま査読すると「情報がないので判断できません」といった結果しか得られないため、代替表示の効果が特に大きい機能です。生成AIに渡した本文と画面に表示される本文は常に同じものです。
代替はあくまで「表示」の仕組みです。検索はデータベースに収録されたテキストに対して行われ、その結果に対して後から代替表示を適用する順序になっています。そのため、WO公報の本文に含まれるキーワードで全文検索しても、本文が未収録のEP文献はヒットしません。ヒットするのはWO公報そのものです。
※WO公報側にも本文が無い場合は、代替しても本文は空のままです(このとき出所表示だけは表示されます)。
Q. 表示されている本文はEPのものですか、WOのものですか?
A. 「代替文献 WO●●●●」または「テキストデータが未収録のため代替文献を表示しています」の表示があればWO公報の本文です。表示が無ければEP自身の本文です。
Q. EPとWOで請求の範囲が違うことはありませんか?
A. あり得ます。PCT国際段階から各国移行時に補正されることがあるためです。代替表示はあくまで「EP側に本文が無いときの参考情報」であり、EPの確定した権利範囲を示すものではありません。正確な権利範囲は公報PDFや各国特許庁の原本でご確認ください。
Q. WO公報の本文のキーワードで、そのEP文献を検索できますか?
A. できません。ヒットするのはWO公報のほうです。詳しくは「9. ご注意」をご覧ください。
Q. 代替表示をOFFにできますか?
A. できません。設定項目はなく、条件を満たす文献では常に代替表示になります。本文が無い状態より情報が多く、かつ出所が必ず明示されるためです。
Q. 名称は英語のままなのに、要約が日本語で表示されることがあるのはなぜですか?
A. 名称はEP自身のもの(英語)、要約はWO公報から取得したものだからです。両者の言語が異なることがあります。
Q. Excelに「代替文献」列が出ないのですが?
A. そのファイル内に代替した文献が1件も無い場合、列自体が追加されません(不要な空列を増やさないため)。
Q. AI査読の結果が「情報が不足しています」となるのですが?
A. 代替元のWO公報にも本文が無い場合はこのようになります。査読結果の画面に代替文献の番号が表示されていれば代替は働いており、それでも本文が空だったということです。
Q. EP以外の国でも「代替文献」の表示は出ますか?
A. 仕組み上は起こり得ますが、実際にはUS・CN・KR・JPでは該当する文献は確認されていません。実務上はEP文献のみで発生するものとお考えください。